祝福について語る時に、我々が語ること
彼は、ある日生まれた。3人のラビがその光を感じ、貢物を捧げた。厩に生まれた、もっとも清らかなる者。遥か2000年前に、私達はすでに救われていたのである。彼自身が捧げた命は、人類の罪を贖ったから。
僕はいまレストランにいる。天井が高く風の通りが良い。初めて来る店には、いつも期待と不安が主題と変奏のように繰り返される。今回の賭けは僕が勝ったようだ。
僅かな家族連れがアメリカのホーム・ドラマを見ながら笑い声を上げている。まるで鈴の音のようなその声はこんな季節にぴたりと似合う。まるでホテルに備え付きのクローゼットみたいに。
食卓を共にする友人がいない夜は、静かに食べるのが良い。静かに食べる。たくさんワインを飲む。あるいは逆でも良いかもしれない。たくさん食べる、静かにワインを飲む。
このレストランの名前はIKEAというらしい。ちょうどいいので、新居のために椅子を買った。家に帰ったら早速組み立てようと僕は思う。買って来ては組み立てる。まるで歯車のようだ。油を差す代わりに、とばかりにワインを飲む。
電飾は時に残酷なほどに美しい。まるで、今夜は特別な資格を持った人だけが幸せそうに街を歩く権利があるみたいだ。僕は少し足早に電車に乗り込んだ。
家に帰るまでの間、満員電車の中でサラリーマンがケーキを大事そうに抱えている姿を見た。彼は、まるでとても壊れやすいガラス細工を守るように、それを丁寧に抱えていた。
まるで雨に濡れた捨て犬のような気分で家に帰ると、覚えの無い荷物がamazonから届いていた。差出人の名前は知っていた。Ko HIDETAKAくん。トビタテ3期生にも関わらず、未だに出国していないクレイジー・ボーイだ。
一体彼が何を送ってきたんだろう。最近はあまり会えていないし、特別貸しがある覚えもない。
コーヒー豆を計量するためのスコップだ。僕は唐突に理解した。このトビタテハウスを作るにあたって、みなさんに協力を要請していたのだった。Amazonのウィッシュリストというのはご存知だろうか? http://www.amazon.co.jp/registry/wishlist/18OOF4BSCYXFS
自分が欲しいものを載せておくと、素敵な友人や先輩方がその中の物を簡単に買って届けてもらえるというサービスだ。素敵な友人や先輩方であれば、助けを求める人がいたら思わず買ってしまうものであろう。問題はトビタテハウスマンにそんな方々がいるかどうかである。
いたのである。彼の紹介を簡単にしておこう。トビタテ三期生にして、2016年の2月からシリコンバレーに発つ、Ko HIDETAKAくんだ。類まれなる行動力と、人との縁を作る力により毎日のようにミラクルを起こす男だ。彼の文章で非常に良い物があるのでここで宣伝しておこう。
最後に一言だけ。サンタという観念は様々な形を取りうるということ。そして、それは人の優しさからできているかもしれないということだ。